つらい慢性非細菌性前立腺炎の悩みに光を:鍼灸が導く新しい選択肢
- yamanehari777
- 7月17日
- 読了時間: 3分
更新日:7月19日

慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群(CP/CPPS)に対する鍼灸治療は、近年注目されており、その有効性を示唆する臨床研究や症例報告が増えています。
鍼灸の効果が期待される理由
鍼灸が慢性前立腺炎に効果をもたらす可能性のあるメカニズムは多岐にわたります。
血流促進:
鍼刺激により、前立腺や骨盤周囲の血流が改善されると考えられています。血流が改善することで、炎症性物質や老廃物の排出が促進され、組織の回復が促されます。
筋弛緩効果:
慢性前立腺炎では、骨盤底筋群の過緊張やトリガーポイントの形成が痛みの原因となることがあります。鍼刺激は、これらの筋肉の緊張を緩和し、痛みを軽減する効果が期待されます。特に、梨状筋やその他の臀部の深層筋へのアプローチは、坐骨神経や陰部神経の圧迫を軽減し、関連痛の改善につながると考えられています。
神経系の調整:
鍼は、自律神経系(交感神経と副交感神経)のバランスを整える効果があるとされています。慢性的な痛みは自律神経の乱れと関連が深く、自律神経の調整により、痛みの閾値が上昇したり、不快感が軽減されたりする可能性があります。
陰部神経など、前立腺や会陰部の感覚を司る神経への直接的な刺激(鍼通電療法など)も、痛みの信号伝達に影響を与えると考えられています。
鎮痛作用:
鍼刺激により、エンドルフィンなどの内因性鎮痛物質の分泌が促進されることで、痛みが軽減されると考えられています。
抗炎症作用・免疫調整作用:
一部の研究では、鍼灸が炎症反応を抑制したり、免疫機能を調整したりする可能性も示唆されています。これにより、前立腺の炎症状態の改善が期待されます。
精神的リラクゼーション効果:
慢性的な痛みは、ストレスや不安を伴うことが多く、これらの心理的要因が症状を悪化させることもあります。鍼灸は、リラックス効果をもたらし、ストレス軽減を通じて症状改善に間接的に貢献すると考えられます。
臨床的なエビデンス
複数の臨床研究やメタアナリシス(複数の研究を統合して解析したもの)において、慢性前立腺炎に対する鍼灸治療が、偽鍼治療や標準治療と比較して症状の改善に有効である可能性が示されています。
NIH-CPSI(慢性前立腺炎症状スコア)などの評価指標を用いて、痛み、排尿症状、生活の質(QOL)の改善が報告されています。
特に、トリガーポイントへの鍼治療や、仙骨部・会陰部・下腹部の特定の経穴(関元、中極、会陰、中髎など)への刺鍼が有効であるとされています。
電気鍼(鍼通電療法)も、より効果的な刺激として用いられることがあります。
治療期間と頻度
効果を実感するまでに数回の施術が必要となることが多く、一般的には週1~2回の頻度で、数週間から数ヶ月(8~12回程度)の継続治療が推奨されています。症状の改善が見られれば、その後の治療頻度を減らしていくこともあります。
注意点
鍼灸は、あくまで慢性前立腺炎の多角的な治療法の一つとして検討されるべきです。
全ての患者に効果があるわけではなく、効果には個人差があります。
適切な診断のもと、医師と連携し、鍼灸師の専門的な知識と技術に基づいて治療を受けることが重要です。
重篤な感染症など、鍼灸が不適応となるケースもありますので、自己判断は避けてください。
慢性前立腺炎の症状でお悩みであれば、鍼灸治療も選択肢の一つとして、専門の医療機関や鍼灸院に相談してみることをお勧めします。
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